呂遼と曹惇が前提の惇遼本の書き出し部分 寝台に体を投げ込むように座ると、横からペットボトルが差し出された。よく冷えた水を受け取って、半分ほどまで一気に飲むと、小さく笑う声が聞こえた。
「私の分がなくなるな」
「まだ残してあるだろ」
「いい、気にするな。好きに飲め」
なんだよ、と小突くと、気にするな、ともう一度返される。
夏侯惇トールギスⅢは小さく鼻を鳴らして、結局残りの半分も飲み干した。
風呂の広さをいいことに二人でシャワーを浴びて、乱れた寝台へと戻ってきたところだ。つい先程まで部屋に満ちていた、お互いの荒っぽい息だとか、湿った睦言だとか、体のぶつかりあういやらしい音だとかはすっかり霧散していて、そこにはただ二人、事後の気だるさを享受する男がいるだけだった。
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