その後の話アプリが姿を消してしばらくが経った。僕はアプリが手紙と共に残した、彼がいつも帽子に着けていた飾り羽根を自分の帽子の飾り羽根の横に指した。彼との約束を守る為に。
ある日、いつものように気の向くままに旅をしていたら、ある場所に辿り着いた。忘れもしない、あの日、アプリと初めて出会ったあの場所だった。ふと木の枝を掻き分けてみた。僕は目を疑った。でも間違う筈がない。あの日のように、彼はベンチにつまらなそうに腰掛けてていた。
「お前、、アプリ!?」
思わず声をかけてしまった。アプリはびくっとして驚いた顔でこちらを振り向いた。
「、、、君は誰だ。僕を知っているのか?」
血の気が引くのを感じた。
「、、、嘘、だろ?」
やっと会えたのに、彼は僕のことを覚えていなかった。いや、それもそうだ。彼はアンインストールされてしまったのだから。2人で旅をした記憶も、もう彼の中には残っていない。それでも彼であることは確かだった。飾り羽根のない帽子が、その証だ。
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