所有印「……八乙女、今日帰りに一緒にいた女優さん、仲良いの?」
「ん?あー、次のドラマで共演するんだよ。特別仲良いとかはないけど、最近話す機会多いかもな」
「……ふーん」
「なんだよ、ベッドで女の話するなんてらしくないな」
「別に、なんでもない」
「……………」
「……………」
「……狗丸、今日俺にキスマーク付けてもいいぜ。しばらく脱ぐ仕事ないし」
「え!!え、いや、な、何、急に」
「そしたら安心するかなと思って」
「うっ、いや、でも、それはだめだろ……」
「俺が良いって言ってんだから良いんだよ」
「だめだよ、だめだ、やらない」
「ふーん」
「……………」
「……………」
「………その代わり、」
「うん」
「指、噛んでもいい?」
「指?」
「ん」
「いいぜ。どっちの手?」
「………左」
*
「………狗丸、何だよこれ」
「噛み跡」
「いや、ちょっとへこんだだけだろ」
「怪我させるわけないだろ!」
「なんだ、てっきり左手薬指の根元に絆創膏貼ることになると思ったよ」
「俺にそんな勇気ねーって……」
「……狗丸、ここ予約しとくか?」
「薬指?」
「ああ」
「………何、出来んの?」
「出来る」
「………じゃあ、しとく」
「なんだよその顔。浮気しないから安心しろ」
「わ、分かってるよ!分かってるけど、なんか、モヤモヤする」
「……じゃあ、これから毎日薬指に噛み跡付けていいぜ」
「え」
「毎日へこませてたらいつか戻らなくなるかもな」
「いや、それ、困るだろ」
「そうなる前に指輪で隠せるように頑張るよ」
「………………」
「おいなんだよその顔。違うって、他の誰かとじゃなくて」
「分かってるけどさ〜!!」
「あー、やっぱ肌もどっか吸っとけ!な!腹とかなら全然問題ねーから!」
「なんだよ吸っとけって!ムードもへったくれもねーな!」