『深夜に隊長のパンツを洗うカブのお話』・
それは転落から四日目の夜だった。
「う……」
今夜も軽いマッサージで寝落ちたはずのミスルンが、小さく呻いた。諸々の後片付けをしていたカブルーは、足音を立てないようにそっと近付いて様子を窺った。ただの寝言なら起こすのは忍びない。というか、ここで起きてしまわれてはマッサージの甲斐が無い。
借り物の上着と寝袋にくるまったミスルンをじっと観察する。見たところは異常がない。先ほどの一言以外には声も出さない。が、油断はできない。何せ目の前の人物はあらゆる欲求を感じなくなっているのだ。本人が不快に思っていないだけで、何らかの生理現象が起きている可能性はある。
食事もさせたし、寝る前にはトイレにも行かせた。あとは。
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