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    karu_komo

    @karu_komo

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    karu_komo

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    拙作同人誌『雨の夜にも星』の┠イ┠"ー視点のSS。
    ※上記同人誌を読んでなくても読めると思いますが、読んでいる方がわかりやすいと思います。
    ※捏造まみれ注意。みんな年を取っています。
    ※文章を書くのが下手くそな人間が書いています。大目に見てやってください。

    我が上の星は見えぬ手紙が届いた。
    トイドーは胸を高鳴らせる。その内容は『ジーノ人形を作らせてもらえないか』というものだ。
    差出人はマシュマロの国の次期国王、マロ。この宿屋に泊まった一行の1人で、今はトイドーの友人である。
    トイドーはすぐに手紙の返事を書いた。

    『ジーノ人形』。それは、トイドーが幼い頃よく遊んでいた木製の人形。そして、『ジーノ』は彼の憧れのヒーローだ。それは今も変わらない。
    しかし時というものは、どうしたって人を、物を、変化させる。成長したトイドーは、いつだったか「ジーノごっこ」を卒業した。遊ばなくなったわけではないが、ジーノとの接し方が変わったのだ。
    「ジーノがいつ帰って来てもいいように、綺麗にしておかないと。」
    そうして少しくたびれた人形は、宿屋のカウンターでお客さんのお出迎えをしてもらっていた。

    手紙が届いてからひと月ほど。トイドーはマシュマロの国に招待してもらった。
    マシュマロの国には銅像を作る職人がおり、造形の技術が高い。2代目のジーノ人形が出来上がったときには、瓜二つの人形が並んでいた。違いがあるとすれば、シューティングスターショットは打てないことか。
    「すごい、そっくりだ!でもさぁ、このジーノ、戦えないんだよね。大丈夫かなぁ?」
    「その時は、ぼくがジーノさんを守ります!」
    自信満々なマロがカッコよく見えて、ちょっと羨ましくなった。マロはジーノと冒険していたんだ、と思って。
    「ボ、ボクだってもう子どもじゃないし、ジーノを守れるよ。」

    ----

    それからどれだけの年月が流れただろう。トイドーはすっかりお爺さんになった。
    若い頃はマロと頻繁に手紙のやりとりをしていたのだが、相手は王族だ。国王になったマロと気軽に連絡を取り合うのは難しい。それに、トイドーも宿屋の主になった。経営に子育てに目まぐるしい日々を送っていると――マロとのやりとりは、毎年新年の挨拶を交わす程度になっていた。

    が、その日は違った。マシュマロ王から便りが届く。いつもと異なる時期に、いつもより柔らかな手紙。
    『ジーノさんに会ったよ。』
    昔を思い出す、友自身の言葉だ。

    その日の夜、さっそく旧友に向けて筆を取った。
    ――その時。
    入口の方向から光が差した。
    トイドーは駆け出した。さっきまでの腰痛がウソのように、足取り軽く。

    「………おかえり!!」
    かつての少年の声が、そこにはあった。
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