遠方から嫁いできたまついは母屋から離れた場所に建てられた洋館で主人と使用人のくわなと3人で住むことになる。
主人は背格好はまついと変わらず、無口で、あまり姿を見ることもなく、部屋に引きこもって仕事をしているか、仕事で出ている事が多いので、身の回りの世話から何から全部くわなにされているまつい。
使用人としてそばにやるなら女の方が都合が良いのではと思って主人に聞くが、それでいいのだと言われるばかりで、主人とは最低限寝室で会話をする程度で数年経ってしまう。
嫁ぎ先に自由のないまついは毎日毎日洋館でくわなと2人きり、世話をされ情が湧いてしまうけれど、お互い余所者同士の主人に仕える身の上なので、想い合うわけにもいかなかった。ある日主人が唐突にお前たち、ややこはまだか…と問うのであなたがいるのに何をおっしゃいますか?となるまつい。
ここで主人が、自分は実は女の身で、家に男が産まれなかったせいでこんなことになってしまっている。家が子どもを欲しがっている。付き合わせてすまないがと言う。
帰るところのないまついはどうして良いか分からないし、では、誰とのややこを…ていうと使用人がいるだろうと答えた。命令なのでと妊娠するまですることになるんだけど、いざ子ができてもくわなもまついも余所者なので、家の方がこの子は本当にこの家の子になるのか?という話が出てしまって主人も内密にくわなの種で子を産むことになる。くわなと関係を持ったまついはそのことに猛烈に嫉妬した。生まれる子供に対して主人と共に父と母にならなければと思うが、主人の身を不憫に思った心もどこかにいってしまって、くわなと自分の子を連れて家を出て行く。
主人の家は主人の子が男であったので、妻の方は死んだとかなんとか適当を言って、たいそうかわいがるのでおとこに産まれなかった主人だけが家に取り残されてしまうのだった
完!!!
主人が女だった時点で染色体Yが遺伝されないのでのちのち血筋としてはくわなの遺伝子しか残らないからどちらにせよ名前だけの家になる。