無題むにゅん。
そんな音が聞こえてきそうな、弾力のあるもちもちしたものが輪廻の頭にのしかかる。
例えるならばマシュマロと同じ弾力を持った特大のスイカがのしかかってきたかのような、そんな重みだ。
「お、輪廻に教わってんのか。いいな、順調そうか?」
重さに半分ほど潰されている輪廻を気にした風もなく、マシュマロスイカの主は呑気な声を頭上であげた。どうやら彼女は自身の胸の重みを理解していないらしいのか、輪廻の正面に座っていたラヴィですら「うわぁ」と言いたげな表情をしている。
男であればご褒美だろうが、少なくとも人前でこういった行為を平然と行われてはやられた側はとんだ生殺しというものだ。
「…ラヴィさん、ステリアさん、少し席を外しても?」
「? ええ、どうかしたの?」
「少し刑事さんと【話】がありますので。ご心配なくとも10分ほどで戻ります」
ニコリ、と微笑んだ輪廻の顔に青筋が走っていたことを、ラヴィが見逃す訳もなく。街灯頭の上に疑問符を走らせる刑事の背中を押しながら、部屋に消えていく2人をただ見送ることしか出来なかった。
「……ステリア、そろそろおやつの時間だし台所にぶどうジュースでも飲みに行かない?」
「えっ?いいの?」
「うん。……多分、しばらく帰ってこないだろうし。」
「???」