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    o_juju_Pd3fJ

    @o_juju_Pd3fJ

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    タイトル未定⑥久しぶりだったので、あの後も何回戦か楽しんだ。愛する人とするセックスは体はもちろんだが、心もこんなに満たされるだと、悠仁が教えてくれた。否、二人で見つけた、が正しいかもしれない。あの時は悠仁も俺も初めてだったし、それから今までたくさん重ねてきた。もちろん、喧嘩したことも何度もある。原因は大体、悠仁が拗ねるか俺が頑固か、だ。それでも仲直りを繰り返して、セックスをして、気持ちを伝え合う。そうやって二人きりの関係を育ててきた。
    ベッドに横たわり、悠仁が背後から俺の腹に回した腕を撫でている。微睡みそうになるものの、まだシャワーもしていないし、汗が引いてくる肌が心地いいので、もう少しこのまま。
    ふと、悠仁が妙なことを言い出した。

    「俺さ、脹相が今んなってやっぱり呪霊側にっつっても多分許せるし変わらず好きなんだと思うだよな戦いたくはねーけど」
    「呪霊側に?何故そんなことを」
    「いや、だって脹相って人間も呪霊の気持ちも分かるのかなって。それで呪術師やってて辛くねえかなって」
    「...あれは...ただ、哀れだ...自己矛盾を抱えて前にも後にも進めない...そういうモノたちだ……」

    自己矛盾。己のどうしようもない空洞はこの辺りに由来するのかもしれない。半呪霊、混血、母の死、兄弟の死、何重にも呪われて存在する自分。それでも瓦解しないのは、胸の内に二つ存在する空洞の一つを常に満たしているからだ。
    それは悠仁が満たしてくれていると思っていたがそうじゃない。

    「脹相が何を選んでも、今の俺なら許せるし、まるごと愛せる気がするんだ」
    「悠仁」
    「うん」

    体を反転させて悠仁に向き合い、こめかみから頬を撫でる。成長しきっても童顔で愛嬌のある顔立ちだ。俺の可愛い弟。

    「俺を俺たらしめるのはお前への愛だ」
    「うへぇ、すげえ殺し文句」
    「事実だ」
    「じゃあそれって俺専用ってことだな」
    「ああ、だからお前を……」

    そこまで言いかけて俺は言葉を選んだ。悠仁は自分の命を預けることはあっても背負わせてはくれない。俺もそうしている。

    「お前と生きられることが、お兄ちゃんは嬉しくて幸せなんだ、それだけは忘れてくれるな」

    悠仁は懐っこい満面の笑顔でその言葉に応えてくれた。





    最近高専にも喫煙所が出来た。それまでは一応、勝手口の軒下に申し訳程度の灰皿が設置されていただけだったがこの度建屋から少し離れた場所に屋根付きの喫煙所が完成した。喫煙者にとっては今までより距離が出来て少しばかり不満の声が出ているが。
    そもそも学生の学び舎でもあるここの喫煙所を使う者なんてそう多くもない。家入はヘビーユーザーではあるが、数年前から脹相も仲間入りしている。
    悠仁はこの日の業務が終わると学生達に捕まり、ダラダラと構い倒されていた。悠仁は年上からも可愛がられるタイプだが、年下からも慕われるようだ。
    そんな学生達の絡みを振り切り真新しい喫煙所に駆けてゆく。
    遠目にも目立つ装束と髪型に吹き出しながらゆっくりとした足取りで近づいた。走って来たとは思われたくなった。

    「今日何本目?」
    「今日は一日書類と講義だったから朝から二本目だ……書類は嫌いだ……」

    間口がオープンな喫煙所に立ち入るともくもくとタバコの臭いが充満している。未だ脹相の紙タバコは長さがあるが、悠仁が入ってきたことで一旦口から離した。

    「副流煙はお前には毒だ、外で待ってなさい」
    「俺に、唯一効くお前の毒だな」

    悠仁は意に介さない様子で嬉しそうに笑った。悠仁はぴったりと脹相の隣にくっつき、背後のポールに寄りかかる。

    「タバコ吸ってる脹相って寂しそうなんよな……」
    「俺が?」

    脹相は思わず自分の頬を撫でる。

    「でもそれがエロいって言うか……」

    今度は脹相の笑う番だった。一旦吸い込んだ煙を悠仁の顔に吹きかけてから、まだまだ吸えるタバコの火を灰皿で揉み消した。流石の悠仁も顔を背けるが嬉しそうだった。

    「あーもう、だからエロいんだよ」

    喫煙所を出た二人は並んで歩き出す。悠仁が何だかんだ、騒がしく話しかけ脹相が穏やかに笑って相槌を打つ。
    脹相の空洞は片方空っぽのまま、束の間煙で満たすと更にその空っぽの存在を意識してしまう。寂しくて哀しくて愛おしい空っぽを。

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