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    ゆちょのえっちなやつとか小説とか落書きとかラフとか置く場所

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    オメガバゆちょ
    ヒートお兄ちゃん

    転生オメガバゆちょ3これだけ科学が発達していても、未だ人体の構造は未知数な部分が多い。出産の能力を持つΩも例外ではなく、しばしばホルモンの働きが狂う時がある。
    それは強いストレスはもちろん、恋愛によるドーパミンの過剰な分泌も原因になることがあるのかもしれない。
    脹相は10代半ば頃から三ヶ月に一度、一週間程度発情期に当るヒートの症状が現れるようになった。親戚に引き取られた時も、壊相が自立して兄弟三人、親戚の家から出て引越しした後も、脹相の部屋は離れや家の中心からは遠い場所に置かれた。αの家系の中でΩのヒートが家族に影響を及ぼさない為だ。
    今回のヒートは予定より数週間早かった。悠仁くんのせいかな、と壊相が言っていたが脹相自身もそれだろうと感じていた。現在の家では脹相の部屋は母屋から廊下だけで繋がる離れでありミニキッチンやユニットバスを備えたちょっとしたアパートのワンルームと行った体だ。兄の体のことを考え、αである壊相や血塗の収入だけで十分賄える、Ω向けの離れがある家を買ったのだ。ヒートが始まると脹相は弟二人から離れ、この部屋に引き込もる。元々性欲が弱いのかヒートの一週間は日常生活は送れないものの、眠ったりそういう動画を観たりしてやり過ごす程度で済んでいた。ただ今回ばかりは何時ものようにいかない。なんせ想い人が居るのだ。しかも前世で体を繋げた記憶がある。脹相はその記憶を反芻してはなんとか体を宥めるしかなかった。

    「脹相さんと約束していて」
    「あ〜、今ヒート始まっちゃって、会わせられないんだあ、聞いてないか?」

    母屋の玄関では血塗が来客の対応をしていた。来客は悠仁で、血塗は兄二人から聞いていた件の許婚から菓子折を受け取る。

    「連絡来てたんですけど、一緒に行こうって予定していたスイーツ屋さん、脹相さん楽しみにしてたんで、食べられるか分かんないけど差し入れしたくて」
    「悪いな〜、少しなら食べられるかも」
    「残ったら弟さん方も食べてください」
    「わざわざありがとうな」

    悠仁は会釈をして玄関を後にする。門を出て塀の陰に入ったところでスマホを取り出し、脹相へメッセージを送った。

    ー今血塗さんにケーキ渡してきたよ、食べられそうなら食べて
    ーありがとう、一緒に行きたかった
    ー行けるようになったら行こう、体大丈夫?
    ーいつもの事だから平気だ

    脹相は送信ボタンをタップした後、再び素早く文字を打った。だがこのメッセージを送信するところで指が止まる。自分の気持ちを伝えることがこんなに難しいなんて。そう思い躊躇っている間に再び悠仁からのメッセージが入る。

    ー会いたい

    それは自分が打ち込んでいた字面と同じだった為、一瞬誤送信をしたのかと思ってしまった。脹相はメッセージ欄に入力していた文字を削除し、再びメッセージを打ち込む。送信。

    ー俺の部屋は家の裏手の離れだ、掃き出し窓がある

    脹相はベッドから起き上がり、窓の前に置いてある一人用の小さなソファーに移動した。期待と後悔で心の中がぐちゃぐちゃだった。
    悠仁はスマホをズボンのポケットに仕舞うと家の裏手に周り、助走をつけて塀を飛び越えた。そのまま建屋の壁伝いに奥に向かうと確かに離れのような建物と掃き出し窓が見える。部屋の中はレースカーテン越しでよく見えない。
    脹相は持っていたスマホをカーペットの上に落とした。レースカーテンを開けて窓を開け膝をつく。

    「悠仁」
    「ああ、開けちゃった、駄目だろ、まだ結納も済ませてないのに」
    「すまん」

    脹相は今にも悠仁に抱きつきたかったが、残っていた理性がそれを押し留める。代わりに窓際に腰掛けた悠仁の手を握る。その力が思いの外強く、悠仁は苦笑してしまう。彼はヒートを迎えたΩの姿は初めて目にしたが、様々な意味で目の毒だった。今まで脹相とは外で会ったことしか無かったが、彼はいつも小綺麗な格好をしていた。弟がこれを着ろと言うんだ、と話していたがヒート中の脹相は完全に部屋着で、少し伸びたトレーナーの襟ぐりから鎖骨が見えるし、ベッドで横になっていたのか流した黒髪は乱れて、目視でも体温が高そうだと分かる上気した肌に髪が張り付いている。極めつけは異様に良い香りがする事。これがαを引き寄せるフェロモンのなせる技か、と悠仁が奥歯を噛んだ。

    「脹相、辛そうだな、水分取っていっぱい寝な」
    「悠仁……」

    触れた脹相の手が更にじわじわと体温を上げる。呼吸も浅くなって来ている。このままでは婚姻前に間違いを起こしてしまう、と悠仁は引き摺り下ろされそうな理性を総動員する。αとΩの着床率は著しく高い。彼が大事だからこそ、段階は守りたい。

    「脹相、もう駄目だ、窓を閉めて横になれ」
    「いやだ、悠仁が、悠仁と……」

    脹相はまるで悠仁の言葉を聞かない。子供のように駄々を捏ねて、絡めていたはずの手はいつの間にか悠仁の腕を掴み凄い力で引き止める。

    「悠仁、悠仁……何故、前みたいに……お兄ちゃんを……」
    「脹相?」

    脹相の黒い瞳が蕩けて視線が虚ろだ。悠仁は錯乱しているようだ、と感じ肩を掴んで顔を覗き込む。が、その姿勢がいけなかった。脹相は虚ろな瞳で悠仁を追うと、ふっと微笑んで唇を寄せてきた。ぬろ、と悠仁の唇を割り侵入してくる舌先に驚きつつやんわりと応えてしまう。鼻から抜ける脹相の声が悩ましい。ぬるぬると熱い粘膜が触れ合うのが気持ち良く、悠仁はしばし流されまま唇を貪っていたが、離れ難い唇を触れ合わせながら、着ていたジャケットを脱いだ。次に脹相の肩を押し返し、脱いだジャケットで脹相の両腕ごと包み込んでやる。ダルマみたいになった脹相は事態が飲み込めず惚けていた。

    「もうお終い。ほら、Ωは巣作りするんだろ?これ持ってベッドに戻れ、来週またデートしよ」

    脹相は一瞬目を見開くと真っ赤になって悠仁のジャケットを抱き寄せすん、と匂いを嗅いだ。

    「すまない、俺は、今……」
    「だいじょぶ、またちゃんとキスし直そ!俺帰るからね、ちゃんと休んでな?」
    「ああ……上着……借りる……」

    悠仁は頷くと窓を閉めてやり、再び助走をつけて塀を飛び越えて行ってしまった。脹相はふらつく体をなんとか支えて立ち上がり、窓の施錠をしてカーテンを閉め、悠仁の上着を大事に抱きながらベッドへと潜り込んだ。


    *


    「壊相兄~、怒らないで欲しいんだけど…」
    「なに?」
    「悠仁君さあ、ケーキ持ってきてくれた時な、帰ったと思ったら裏手に回って塀飛び越えて兄者に会って行ったみたいなんだあ」
    「ええ⁉大丈夫だったの⁉」
    「そんな長い時間じゃなかったから何もなかったと思うんだけど…」
    「危なすぎる、私たちが守り続けてきた兄さんに何かしたらあのガキただじゃ済まない…」
    「怒るなって言ったじゃんか…何もしなかったんだから偉いなって話だよ」
    「ふん…今回は血塗に免じて追及しないであげる」
    「こわあ~」
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