屋根智2 遠くから聞こえるのは、直前まで共に居た少年らしき声。
それに意識を揺さぶられた明智が目蓋を開ければ、薄暗い部屋が映る。ビールケースを並べた寝台よりも硬い感触や、手袋越しに擦れる藁筵からして、己は粗末な寝台の上に横たわっているらしい。
未だに残る鈍痛に顔を顰めつつ明智が身体を起こして寝台に腰掛ければ、石床に片膝を付いて声を掛けていたらしい金髪の不良が立ち上がったようだ。
「はあ⋯⋯これは、また凄い状況だ」
まさか、夢だけでなく現実でも牢獄入りを果たすとは思わなかった。
思ったよりも疲れている己の声に苦笑する明智に、金髪の不良が心配そうに声を掛ける。
「大丈夫か?」
「一応、まだ無事さ。君は?」
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