墓参り じりじりと太陽が照りつける真夏の空は、うんざりするほど青く澄み渡っていた。真っ白な入道雲の塊が鬱陶しい存在感で空一面に広がっている。
今年は記録的な猛暑であるという報道を、毎年のように聞いている気がする。山間部であるから多少涼を取れるのではという期待も抱いていたが、ちょうど木陰がそっぽを向く時間帯だったので都会とさほど変わらぬ蒸し暑さだった。
「線香を上げる前におれの方がくたばっちまうよ……」
お盆の時期になると墓前に供えられた食い物の数が急激に多くなる。おれのような明日をも知れぬ身の者からすれば大層ありがたかったが、今日はそれが目的ではなかった。自分でも意外なことだが、もう何年も前に大往生した友人の墓参りの為、遠路はるばる山道を登って来たのだった。
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