未定 何か得体のしれないモノの、深い息遣いが聞こえる。
吸って、吐いて。吸って、吐いて。深く、長く。
自分の呼吸とは合わないそれは、音だけで形を持たないというのに何故か私のことをじっと見つめているような恐怖があった。
呼吸が、私を見つめている。私からは見えないところで、私のことをじっと見張っている。監視している。そんな恐怖から私の呼吸は徐々に乱れ、刻み、細かく速くなっていく。ますます、私を見ている呼吸とずれが生じていく。速い自分の呼吸と、深く長い何かの呼吸。身震いする。
そもそも、ここはどこだろう。辺りは一面闇に包まれていて、どこに視線を向けても何も見えなかった。声を出してみようと口を開くものの、舌はからからに渇いていて言葉を紡ごうとしても喉が張り付いて音にならない。声が出ない。声にならない。呼気が震えて、私はそっと口を閉じる。足は動くだろうか。足を持ち上げようとして、失敗した。触れられている感触はないのに、何かに足を掴まれているようで動かすことは出来ない。
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