十月、寝物語 それは次元が朝、目を覚ました瞬間に分かりました。毛布を使うべき日が来たのだと。そんな十月のある日のことでした。
相変わらず朝の早い五右ェ門は既に床から出ていて、次元はひとり布団の中で思案していました。かろうじて、布団から出られないという程の寒さではありません。けれど、今朝の寒さではすぐにそんな日が来ることは目に見えていました。このアジトへ来たのは夏のことです。間に合わせの身の回りの物しか用意していなかった為、ここには夏掛けの布団しかありません。いくら五右ェ門と床を共にしていようと、朝の一等寒い時間に居ないのであれば、やはり暖かい寝具は必要だという結論に至りました。
「五右ェ門、飯これからだろ。食ったら出掛けるぞ」
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