九月の夕餉 五右ェ門が、手に入れた新米を食べることを決めたのは、九月も中頃を過ぎた肌寒いある日のことでした。
かねてから楽しみにしていた漬物が、昨晩遅くにようやく手元にやってきたのです。届いた漬物は五右ェ門自ら、冷蔵庫へしまいこみました。朝は茶のみ、昼の食事はルパンが買ってきたカスクートなるサンドイッチだった為、夕食こそ新米と漬物を中心にした食事が良いと考えました。今日の夕食の当番は次元です。これから準備に取り掛かろうとしているところへ、五右ェ門は向かいました。新米を手に入れていたものの、いつ開けようかと数日考えていましたのでようやく良き日がやってきて、自然に口元が綻びます。分かりやすく、満面の笑みを浮かべるようなことはないものの、五右ェ門を知るものから見ればそう思っていることは充分に分かります。
6830