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    KANIBEAMSAN

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    KANIBEAMSAN

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    ぞーはん組オンリー開催おめでとうございます!
    ありがとうございます!

    カレー食べたい造反組+尾形
    現パロ
    会社の同僚設定です。





    『圏外だ…』


    調べ物をしようと取り出したスマホに燦然と輝く圏外という文字。

    怒涛の繁忙期を乗り越え、たまにはリフレッシュしようと玉井さんの誘いで穴場というキャンプ場に来た私達。アウトドアなんて本当に久しぶりで山の電波状況などすっかり頭から抜けていた。

    「山奥なんだから当たり前だろ」
    そう言い放つ野間くん、なぜかいつも私にだけ手厳しい。

    「お腹すいたな〜」
    岡田さんは事態の深刻さに気付かず、呑気にお腹をさすっている。

    「テントも張りおわったし、昼飯を作り始めるか」
    玉井さんが軍手を外しながら、カレーだったよなとこちらへやってきた。

    神妙な顔をした私に玉井さんが「どうした?」と優しく声をかけてくれる。私はそっとリュックから持ってきた食材を取り出した。

    『せっかく外で食べるから特別なカレーにしようと思って…』
    取り出したスパイス達を見た野間くんが勘づく。

    「もしかしてお前、スパイスからカレー作ったことねぇんだろ」

    『すみません!!分量とか作る時にスマホでもう一回調べたらいいやと思ってて…』

    「俺もスパイスからカレー作ったことないからなぁ…」

    「カレーなんだから混ぜたらなんとかなるだろう!とりあえず作ろう作ろう!」

    パンパンと手を叩く玉井さんの一声で仕切り直し、とりあえず各々作業に取り掛かることにした。私は持ってきたスパイスと睨めっこしながら記憶の中のレシピを思い出そうと必死になっている。手伝いに野間くんがついてくれたが正直に言うと岡田さんがよかった。野間くんは私に辛辣なので。

    手元にはターメリック・ハラペーニョ・シナモン・カルダモン・パプリカ・コリアンダー・サフラン・チョコレート・ガラムマサラ

    『これは隠し味にチョコを用意しました」
    「おい、食べかけじゃねぇか」
    『チョコはちょこっといれればいいから…チョコだけにね』

    自分が乱した場を和ませようとして出た私のしょうもないダジャレ。それを聞いた野間くんの素朴な顔のパーツがだんだん真ん中に寄って達磨みたいになっていく。

    本当はゲンジロちゃんも来る予定だったのになと優しくて毛深い同僚のことを思い出す。習い事のダンスの発表会で来れなかったのが残念だ。そういえば尾形はなんで来なかったんだっけ…山は寒いから嫌だとかそういう感じのぼんやりした理由だった気がする。

    スパイスの香りを嗅いで適量を予想する作業を続けるが素人なので当然の如く見当がつかない。ハラペーニョとコリアンダーはなんか辛そうだから入れすぎないほうがいいかな…





    『玉井さん!カレー粉を試作したので味見してもらえませんか…』
    私の呼びかけに振り向いた玉井さんの顔にスプーンを近づけた。ヒュっという音とともに鼻にスパイスが吸い込まれていく。

    ぶえっくしょい!!!!!!!!!!!!

    くしゃみの勢いで設置中のテーブルごと玉井さんがひっくり返り、大きなくしゃみに驚いた岡田さんが飛び上がった結果、飯盒をこかしてしまった。

    「本当に余計な事しかしないよな」
    『おっしゃる通りでございます』
    飛んできたスパイスを払いながら野間くんの火の玉ストレートな嫌味を真正面から受け止めることしかできない。

    「まだ取り返しはつく」
    「お米減っちゃってごめんな」

    野間くん以外優しい人達でよかったと心から思った。


    『私、がんばります!!』
    さぁこの失態を挽回するぞ!


    ザーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!


    「これはもう帰ったほうがいいだろうな」

    意気込んだ矢先に突然の豪雨。今日はとことんツいてない。私たちのキャンプは半日で終わるはめになってしまった。結局、私たちはカレーをあきらめきれず帰りにスーパーに寄り、米を買い足して尾形の家に向かった。


    ピンポーン!
    『急にごめん、カレー作っていい?』
    少し間を置かれたのですかさずもう一度インターホンを押すと上下灰色のスウェットを着た尾形がめんどくさそうに出てきた。
    「急すぎんだろ」と言われたが皆でそのまま押し入る。

    「すまん、色々あってな」
    「こいつらだけなら追い出してるところです」

    『電波ある!』
    「当たり前だろナメてんのか」

    「米炊いていい?」
    「勝手にしてくれ」

    「便所借りる」
    「そこ出て左だ」

    各々自由に尾形の部屋を行き来しながらカレー作りの準備をはじめる。
    私もスパイスを取り出してカレー粉を始めようとする。


    「スパイスから作るのか?」
    『せっかく外で食べるからと思ってね。でも雨が降っちゃって』
    「こいつがレシピ覚えてなかったせいで作れなかっただけだぞ」
    『それは言わないで』
    「お前キャンプでも使い物にならんのか」
    いびってくる男達を横目にモタモタとスパイスを並べる。
    「見てられんな、俺がやる。不味いものを作られちゃかなわん」

    尾形ってカレーをスパイスから作るタイプだったんだ…
    ありがたくカレー作りをお願いすることにした。私はキャンプサークルのお荷物です…。




    「うん、うまい!うまい!」
    「空きっ腹に染み込むなぁ!
    「普通にうまい」

    やっとありつけたスパイスが効いた美味しいカレーに笑顔が溢れる

    『次は尾形もキャンプ行こうね!」



    「絶対嫌だ」



    おしまい

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