○6月1日 「あなたの魅力に目を奪われる」
ふみやは自室で本を読んでいた。随分と長い時間読みいっていたのかあと数十分で日が変わろうとしていた時、控えめにドアを叩く音が聞こえた。
「ふみやさん、天彦です。入ってもよろしいでしょうか?」
ドアを叩いたのは天彦だった。またいつもの添い寝をしにきたのだろうか。ふみやは気分が良かったので応じるため本を閉じた。
「いいよ」
するとゆっくりとドアが開かれた。そして、天彦の手には一輪の橙の薔薇。
「何それ」
「これはプリザーブドフラワーです。僕がショーに出させてもらってる店の御贔屓さんが最近始められたそうで頂いたものです」
「そうなんだ」
「よかったらどうぞ」
「なんで?」
「ふみやさんの部屋に合いそうなので」
7936