水神遊戯(没?)「ん? 鬼太郎じゃないか」
「お義父さん」
地方への出張中で赴いた村で目当ての家に挨拶をした帰り道。
見慣れた小さな後ろ姿につい声をかけていた。
さらりとした赤茶色の髪を揺らしながら振り向いた子どもは、一見無表情に見えがちな顔を僅かに綻ばせて笑う。
その顔を養父として嬉しく思う反面、無意識のうちに父親の面影を探そうとしている自分に嫌気がさす。
鬼太郎の父――ゲゲ郎。
因習に塗れた哭倉村で出会った掛け替えのない幽霊族の相棒。
共に村の秘密とそれに連なる悲劇を目にした。
全ては悍ましい欲に憑りつかれた龍賀一族、いや……人間という生き物の欲の果てか。
尽きることなく増え続ける狂骨とその元となる怨念は当然の結果であり、それでこの国が滅びるというのなら好きにやらせておけばいい。
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