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    かみお@期間限定垢

    @PC6JYWakbs12381

    期間限定垢。いまのところ、ゲ.謎(父水と💧右)と🏠(🧡💜と💜右)支部にあげた作品の進捗だったりあげる予定。

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    POIPOI 9

    CBふみ天前提。転生ネタのため死ネタ注意。一人目と出会うCB🧡 生贄にされたショタ💜捏造特殊設定もいいところ。

    #カリ腐マ
    crsm bl
    #ふみ天
    fumiten

    前前前世から愛を込めて02【一人目】

    「あまひこは悪い子だから……?教えてください、天使さま」

    ーーーここは、日本という国。西暦でいうと…えーと、何年だったかな。忘れたけど、神さまを信じていて生贄を差し出すような文化がまだ根付いていた頃。

    目の前には、小さな子供がいた。ボロボロになった菫色の布切れのようなものを纏っている。体も傷だらけで、嫌に痩せ細っていた。ガタガタ震えていて顔が真っ青だったけれど、やけに整っている。そして、ひどく幼いけれど性を司るあの兄と瓜二つだった。間違いない、彼は本当に人間へ転生したのだ。彼を追って地上に来たものの、転生した彼と出会えるかは確率が低かった。なんたる幸運だろうか。

    自分のことを覚えていないことを悟る。天使と呼ばれた男は、はぁとため息をついた。[[rb:約束> ・・]]をもう少しで果たせそうだというのに、また初めからやり直しなのか。

    ーーーいいだろう。何百年何千年も待つことが出来たのだ。また、待つくらい造作もない。

    「何故?貴様が悪い子だと誰が決めた?ーーー正と悪だなんて決めつけるの[[rb:人間>きさまたち]]だけだろうに。あと、我は天使ではない」

    そんなことを言うだなんて、本当に貴様は正邪のカリスマか!?と怒鳴る秩序を司る兄の姿が脳裏に過ぎる。あの人も、堕とされたが元気でやっているだろうか。いや、元気か。あの性格なら。人間界の言葉でいうなら、三つ子の魂も百までというやつだ。

    「輪っかがあるのに、天使さまじゃないんですか」
    「生贄の子なら、分かるだろう。貴様たち人間どもが「神」と恐れ敬うものーーーそれが我だ。全く、性の[[rb:カリスマ>神]]だった貴様がこうもなるとはな」
    「?」
    「ーーーまあ、良い」

    『毎年春に一度村の若い娘を一人神さまへ生贄として差し出すこと』

    そうすることで、村はまた一年平和になるという。それがこの村に伝わる「しきたり」だった。
    本来男であるこの子供が選ばれた理由。それは、半年前からこの村を治めている地主が若い女を連れて行ってしまい、二度と戻ってはこなかったからだ。毎年生贄を差し出す約束を破ってしまえば、どんな祟りが起きるかわからない。村人たちは恐れた。そして、この子供に白羽の矢が立った。正確には、この子供の兄だろうが。
    「……もう、村には女の人たちはいません。だから、僕が来ました」
    「女達がいなければ、子供も生まれないだろう」
    「……男の人たちの相手は、僕がしてました。僕は出来損ない、役立たずだから。ーーー嘘をついて、ごめんなさい。本当は兄さまを生贄にする約束でしたが、兄さまはすごい方だから生贄はダメなんです。だから、僕を食べてください。神さま」
    「…………ふうん」
    よりによって、転生した性のカリスマは自己犠牲を厭わない人間らしい。以前と全く違う性格になっている。兄は兄、この子供はこの子供で比べても意味がないというのに。転生したとはいえ、まだ一回目の転生のはずだ。この子供が[[rb:性のカリスマ>自分と同じ神]]だったことを覚えていないとはいえ、力はある程度残っているはずだと思っていた。だが、最悪なことにその力は凡人とは違う[[rb:何か>・・]]を歪めてしまい、劣悪な環境で育ったらしい。
    転生した彼を探し求めてこの地へと降り立ったのは、ごく最近だ。前にここを治めていた土地神は、気に食わないから追い出した。彼の住処だったこの洞窟は、意外と住み心地が良い。食べ物や生贄で差し出された女達ーーー資源も豊富だ。
    もちろん、神が代わったことなど人間どもは知らない。自分たちが崇めて信じていた神が知らぬ間に変わっていたなんて間抜けにも程がある。現代でいうと、ウケる?だったか。とにかく、正邪にとって愉快だった。
    「貴様のような痩せ細った子供など食べるわけなかろう……そんなに怯えなくても良い」「で、でも……食べなきゃ村が、」
    「あんな村、なくても良いだろう。お前にとっても好都合だろう」
    「そ、そんな悪いこと、僕は、思ってなんか…っ!」
    「また『悪いこと』か、つまらんな。ああ、そんな距離を取るな。面倒だな……どれ」
    [[rb:人間>凡人]]とはかけ離れた姿に怯えているのだと気づき、気まぐれで正邪は人間へと擬態する。金色に輝く液体の翼が、彼の体へ包み込んだ。そして、すぐにそれが消えると夕暮れのような淡い橙色に染まった着物を纏った[[rb:人間>男]]が立っていた。人間離れしたあの輪っかも無くなっている。
    ーーー言葉遣いも、変えた方が良いか。
    他でもない彼の生まれ変わりのためなら、[[rb:人間>凡人]]に擬態するなど造作もなかった。
    「?きさーーーお前と同じ人間に擬態したのに、反応薄いなオイ……お前の名前、教えてよ」と少し残念そうに呟く。
    「あっえっ…と、あまひこ……です、神さまは、」
    「天国の天に彦星の彦で天彦、ね。……ああ、俺にお前たちみたいな固有の名前はないよ。……でも、神さまって呼ばれるのは他人行儀みたいで嫌だな。ーーー正邪でいいや」
    「……聖者?」
    「違う。聖なる方じゃない。…正しいのと、[[rb:邪>よこしま]]で正邪」
    その辺にあった、木の枝で地面に【天彦 あまひこ】【正邪 せいじゃ】と書いてやる。隣で天彦も字を書いたが、みみずのような文字でお世辞にも文字には見えなかった。絵のようにも見えた。不思議である。
    どうやら、天彦は学がないらしく文字も平仮名しかわからないらしい。それでも、こっそり兄の書物を盗み見して自分なりに見様見真似だが、独学で勉強したと嬉しさと恥じらいの入り混じった笑みを浮かべた。最近は、この国に最近入ってきた世界と一人の神さまのお話ーーー聖書が物語のようで面白いらしい。読解するのに何時間もかかるものの、それでも読み応えがあって楽しいのだと。
    「正しくて、悪い…?神さまなのに、なんだか[[rb:人間>僕たち]]と一緒みたいだ……嬉しいなァ」
    ……普段であれば、我と兄弟以外の神を語るなど、許さんのだが。
    ーーー性のカリスマと全く同じ顔で同じように笑うのだから、正邪のカリスマは何も言えなかった。どこか繊細な硝子細工のように、ひどく脆くて崩れてしまいそうなーーー幼い子供を感じさせない、性のカリスマと同じ危険なその微笑みに魅入ってしまう。
    もうあの本人には会えないというのに、こんなにも胸がぎゅうと息苦しいのは、人間に擬態したことが初めてだったからだろうか。
    正邪は、わからない。経験したことのない痛みだからだ。昔、性のカリスマにデコピンされて痛みを治すことさえ出来なかった。でも、[[rb:完全体>大人]]である今の正邪ならば、痛みを自力で癒すことが出来るはずだ。……だというのに、痛みを取ろうとしても、この痛みだけはずっと胸に残っていた。
    「?正邪さま?」
    「……はは、生贄の女達は俺の姿が見えないからさ。いつ取って食われるのか不安で仕方ない顔をするのにーーー天彦は怖がらないんだな」
    明日は、字を教えてやろうか、と気まぐれで提案をした。痛みを隠すかのように、正邪は話題を変えたのだ。優しい口調だった。すっかり緊張が解けた天彦は、とても嬉しそうに何度も「本当ですか!?正邪さま、約束ですよ!」と指を大袈裟に振って、指切りげんまんをさせられた。神に約束事をするとは。
    頭に乗せたのは、今の彼と同じ人間の掌だった。大きくて温かい、しっかりとした男の掌だというのに、子供はどこか母親の姿を彷彿とさせたのかもしれない。その姿は、恋人へするようなものではなく、親が愛しい我が子の頭を何度も撫でるかのようだった。天彦は気持ちよさそうに目を細める。ーーーそして、お互いにいつの間にか眠ってしまっていた。
    翌日、起きて太ももの上で寝ていた天彦の肩を揺らした。しかし、いくら起こしても彼は起きない。ーーー眠るように天彦は、死んでいた。抱き起こすと、体温がないことに気づいた。そして、呼吸をしていないことも。
    『罰だとも。死を繰り返せば繰り返すほど、力が弱まるといっただろう?ならば、父から我が子達に逃れられない死という[[rb:運命>プレゼント]]を贈ろう。安心しなさい。殺人、自殺、事故、病死、溺死、焼死ーーー[[rb:神の世>ここ]]とは違って人間の世には、様々な死が蔓延しているのだから』

    最高神は、[[rb:神の力>カリスマ]]を奪い、六人をただの人間にすることが罰だと言っていた。彼らを元の姿に戻すには、カリスマチャージ後カリスマブレイクをしなければいけないことは分かっている。彼らを探して見守ったとしても、最高神から与えられた運命から逃げることは出来ない。転生を早めることで、人間になるのならば次々と死という刺客を送り込んでくるだろう。つまり、正邪は彼らが死ぬ瞬間を何度も目の当たりにする確率が高い。この子のように。
    ーーー転生は必ずする。だから、また天彦と会えるはずなのに、この気持ちはなんだろう。
    ーーー否、[[rb:今世の性>この天彦]]は死んだ。もう二度と会えない。
    まただ。このワケの分からない痛みが、いつもよりずっと正邪を苦しめる。一人目の天彦がこの世にいないのであれば、もうこの地に用はないはずだ。さっさと、新しい生まれ変わりを探しに行かねばいけないというのに、正邪は子供の亡骸をずっと抱きしめていた。

    「……次も転生するんだろ?天彦。大丈夫だよ、俺がちゃんと見つけて会いに行くからさ。ーーーそしたら、約束した字の読み書き教えるよ」

    次の[[rb:転生>人生]]では、お前がどうか幸せでありますように。
    正邪は、幼い子供の額へキスを落とした。

    ーーーとある小さな村は、跡形もなく無くなっていた。土砂崩れに巻き込まれたのだろう。そこを治めていた地主さまの城さえも、綺麗さっぱり無くなっていた。人々は、神の祟りだと恐れ、いつしかその村の跡地には石碑や神を鎮めるための神社が建てられるようになった。
    そして、そこから離れた洞窟には、小さな墓と黄金に輝く小さな花が枯れずにずっと供えられてることは誰も知らない。
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