出会い(書きかけ)がその地区に着いたのはもう一週間も前の事だった。周りに一切の情報を出さないと言われるこのホワイトルージュ地区。きっとしっかりとした規律があり、それを治める人物もさぞかし厳格な者なのだろう。ここではどんな人物に会えるのか、どんな地域なのかなんて心が弾んでいたのも、その一週間前のことである。
今はと言えば、
「へぇ!坊ちゃん旅人なのかい、そりゃご馳走するよ!」
「わ!ありがとうございます!」
振り返ること二日前、遂にお金も底を尽いて困り果てて路地に座っていた時、偶然近くを通りかかった親子に助けて貰っていた。
「ねぇ、お兄ちゃんってさ!名前なんてーの?」
「僕?僕はテディ!」
「今更かい明(あきら)…でも私も聞いてなかったね、テディ君ったらさっきまで寝ていたんだからさ」
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