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    鬼の本丸 出雲に行く の作業進捗
    千文字くらいしか書いてない。甘い卵焼きとしょっぱい卵焼き

    ##鬼の本丸

    鬼の本丸 出雲に行く「ここには立ち寄るのか」
     則宗の問いかけに鬼の審神者は頷いた。ここ数年のことだとは言う。鬼の審神者がどのような頻度で海峡を越えてツーリングしているかは言おうとはしなかったが。言えば苦言でも呈されるとでも思っているのか、こういう部分は子供だ。どんな姿であっても。
     則宗も必要以上に掘り下げて聞こうとはせず、そうか、とだけ言って食事に戻る。本丸で出てくるものと味付けは違う。だが、こういうのもいいな、と思うだけだった。本丸で頻繁に食事を作っているのは歌仙兼定や燭台切光忠、北谷菜切だ。誰がそうなのかは分からないが、本丸で出てくる卵焼きは甘い。だが、この食堂で出てきている卵焼きはしょっぱい。卵焼きは甘いもんだとばかり思っていた、というわけだ。
    「ここだけの秘密だがな」
     鬼の審神者は言う。則宗は目を向けた。
    「俺はこの卵焼きの味が好きなのだ」
    「……そうかい、そりゃあ意外だ。お前さんが好きだから出てくるもんだと思っていたが」
    「いいや、俺があの本丸に来たときからずっと甘かった」
     先代の好みなのか、初期刀の陸奥守なのか、それとも乱藤四郎が好きなのか、それは鬼の審神者にも分からないのだろう。この目の前の鬼は、それを聞こうともしないというわけだ。だが、あとから来たからこそ、踏み込めない部分があることは則宗にも覚えがある。
    「いちいち言うのも野暮であろう。甘いものも嫌いではない。あの本丸では、そういう味なのだ」
    「なるほど、確かに野暮だ」
     お互い食べ終わった後も、茶を飲み終わるくらいまでは雑談をして過ごした。鬼の審神者とこうやって話す機会は稀だ。今はようやくやってきた日光一文字が近侍を務めているから、余計に話す機会は少なくなった。あれだけ大勢の男士がいるのだから、平等に話す時間を取るということは確かに難しいだろう。何より男士とて暇ではない。
    「包丁と仲がよいそうではないか」
    「なんだ、知っているのか」
     一文字のじいちゃんと呼んで懐いてくる短刀だ。この包丁の呼び方から粟田口の短刀や脇差の間で則宗をおじいちゃんやおじいさまと呼ぶものも増えてきた。だからといって三日月をじじい呼ばわりしているかといえばそうではなく、じじい呼ばわりをされたい三日月がこっそりコツを聞きに来る。
    「ふふ、あれも聡い短刀だ。可愛がってやるがよい」
     実に楽しそうに言う。そういう普通の笑みも浮かべられるというのに、普段は悪人顔で笑う理由はなんだ。

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