彼らの第n公演 ふんふんとご機嫌な鼻唄と共に、リズムに合わせた軽やかなステップを踏む。まるで踊っているみたい。独りきりなのに可笑しなことだ。
爪先が地を蹴るたびに、ポケットの中のチップがシャラシャラと鳴る。同胞のあの少女みたいな綺麗な鈴の音ではないけれど、あの子の耳にとっては上等の音楽だった。今日この日、覆しまくった敗北への賞賛の音だ。ああ本当に、今日はツイていた!目の前にいた相手の顔が、馬鹿にする態度を隠そうともしない見下したツラが、みるみるうちに崩れて歪んでいく様は面白くて仕方がなかった!
後は誰か、この軽やかな気持ちをもっと昂らせてくれるようなダンスパートナーがいれば、もっともっと愉しい気持ちになれるのに――――
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