(何で、こんな事さなったんだ…)
偶然と言われれば、あまりにもこの状況は酷ではないのか、と誰に届くかもわからない愚痴を俺は脳内で零した。
同時にその脳内で最近覚えたてのパルデア図鑑を上から数えつつ、できるだけ自分の膝に視線を固定してただただ時が過ぎるのを待つしかない。
「流石に、狭いね」
ちゃぷん、と揺れる水音に今しがた数えていたポケモンがどこまでか飛んでしまった。
ええと、確かリククラゲ。そう、そうだ、それで次は──
「…ごめんね、嫌だったよね」
「いや、嫌とかじゃ、なくて…その…」
明らかに落ち込んだアオイの声が耳に響く。
最早パルデア図鑑は頭の彼方へ飛んでいってしまった。1から数えるのももう諦めた方がいい。
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