ご都合秘境「なっ、んできょうだいが二人いるんだ……?」
オロルンに育ての親である黒曜石の老婆からの届け物をしにいったときだった。目の前が白んだと思ったら急に景色が変わり、先程まで話していた特徴的な目と耳を持つ人物が、全く同じ出で立ちで二人いる。
「まさかミミックフローラか」
武器を構えてみるものの全く見分けがつかず、どちらを攻撃していいか判断できない。何か反応を見せてくれればいいのだが、二人のオロルンは互いに顔を見合わせて首を傾げている。
「武器を下ろせ」
すっと巨体が間に割り込んできた。黒いマントに特徴的な仮面。噂に聞くファデュイ執行官隊長かと当たりをつける。ファデュイに悪い印象しかなかった頃だったら引くわけにいかないが、かの大戦の功労者だと聞いているからにはおとなしく従うしかない。ひょっこりとその背後から左右同じ顔が覗く。改めて周りを見渡すと気味の悪い程真っ白な部屋には俺達四人以外はいないらしい。
1997