ないしょのごはん 低く唸るような轟音が頭の片隅で響いて、ふと目を覚ました。しんと静まり返った部屋の空気は冷たく、隣にあるぬくもりだけは変わらずそこにあって安心する。はっきりとしない意識の中、ベッドサイドに手を伸ばしてスマホと手に取った。
「……あれ、まだ三時だ」
ブルーライトに目を細め、瞬きを繰り返す。少し経ってからまた同じ音がして、ようやく隣から聞こえていたことに気づいた。
視線を向ければすやすやと心地よさそうな寝息を立てている。気づかれないように部屋のオレンジライトにつければ、口をもごもご動かして眠る恋人の姿があった。
「ふふ、気持ちよさそうに寝てる」
「ん……オムレツ……」
幸せそうな声音に自然と頬が緩む。薄明かりの中で寝顔を見つめていると、軽く寝返りを打った。小柄な身体を少し丸めて毛布を手繰り寄せている。うっすらと首筋に浮かぶ斑点を見て罪悪感のような、高揚感のような何とも言えない気持ちが胸を締めた。
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