mhyk謎解き期末試験 数週間後、ブラッドリーとネロは二人で海に来ていた。遅刻しかけた所を助けてくれた礼も兼ねてネロから誘った。
「あのさ、ブラッド」
ずっと言えないままでいた、大事な話をするために。
「俺さ、大学……行きたいんだ」
この町を出て短大で料理を学びたい。小さな声で言ってネロは俯いた。本当は何も言わずに黙って出ていくつもりだった。正直に話してもそんなのはガラじゃないって、笑われるかもしれないし。何より自分に自信がもてなかったから。
でも、あの日、テストの朝。迎えに来てくれたブラッドリーのバイクの後ろで思ったのだ。自分の言葉で伝えよう。ちゃんと、ケジメをつけようと。
そんなネロの言葉を聞いたブラッドリーは笑うでも、怒るでもなく、ただ静かに息を吐いた。
「はー、やっと言いやがったか」
「え?」
お前まさか気づいてたのか?
驚くネロに。ブラッドリーは、まあなと言って頭をかいた。
「いや。気づくっつーか、前に部屋行った時、参考書や学校の案内やら出したまま、寝落ちしてたしな」
「……うっ」
「てめぇは自分で思ってるより、隠し事が下手なんだよ」
言って、ブラッドリーは肩をすくめる。
「ここ最近、何か言いかけて止めると思ったら……、そんなのてめぇの好きにすりゃあいいだろう」
「と、止めねぇのかよ」
ネロは顔を上げて瞬いた。ブラッドリーは笑みを消して頷いた。
「俺様を舐めんなよ。てめぇがてめぇで決めた道に、とやかく言うほど落ちちゃいねぇ」
深赤の目が真っ直ぐにネロを見つめてる。
「それに俺もてめぇに言うべきことがあるしなぁ」
言って、ブラッドリーは目を細める。眩しそうにネロを見やって、一歩。距離を詰め静かに告げた。
「好きだ。ネロ」
「へ?」
波音の中、間抜けな声がした気がした。それが自身の声だとも、ネロにはもうわからなかった。心臓がうるさいし。ネロがずっと長いこと言おうとして言えなかった言葉が今、耳に届いた気もしたから。けれど、そんなネロに構うことなく、ブラッドリーは一歩を詰める。
「大学出るまでは俺が顔見に行く。そのためにバイクも取ったしな。だからネロ。卒業したら俺と一緒になれ」
そんでお前のフライドチキン、俺に毎日食わせてくれよ。そう言って、にっと笑った。
「ば、ば、馬鹿。そんなこといきなり、簡単に言うんじゃねぇよ」
「簡単じゃねえ。オレにとっては一生に一度のことだからな」
「……うっ、で、でも、その、あれだ、いきなりすぎて、その」
ネロはぐるぐる目を回してる。
「……しゃあねぇな。じゃあ、とりあえず最初の返事を聞かせろよ」
「さ、さいしょの、へんじ?」
そこでネロは思い出す、長いこと言いたくて言えないままでいた言葉があったこと。そのために頑張ってきたことを。
ネロはコクリと頷いて、口を開いた。
「お、俺も。——きだ」
それは波音に飲まれるほどの小さな声で、けれど確かに届いたようで。ネロの目の前の男はまるで、太陽みたいに笑ってた。
おしまい
end3 百点満点🌸
おめでとうございます!謎解き期末試験クリアです!
他にも追試ページや解説ページなどご用意しておりますので、ぜひそちらもお楽しみください!
とくに!解説ぺーじのイラスト(作:はーさん)とっても可愛いので☺️おすすめです!
そして、もしお気に入りの謎があれば、ボードなどで、教えてもらえると嬉しいです☺️お便りお待ちしています♪