それはとても小さな、
ささやかな願いだけれど――…
It's a tiny wish
見上げれば、明け始めの空に見事な紫色の彩雲が立ち篭めていた。冬至まで近いせいか、夜闇が天を支配する時間の方が長く、気温も徐々にではあるが下がってきている。ちょうど今し方の時間が、1日のうちで一番寒い時間帯なのだとテレビ番組で報じられていたのを聞いたことがある。
毎朝の日課であるロードワークの途中に立ち寄った公園。ずっと走っていたせいで先程まで少し暑いと感じていたが、早朝の冷え込みと時折横を擦り抜けてゆく木枯らしは、上昇した体温を少しづつ奪っていっているようだ。
少し肌寒さを感じつつも左腕の時計を見遣れば、もうすぐ約束の時間になる。
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