夢想する蝶「ねえすずれちゃん、死んだら俺たちはどうなるのぉ?」
ランプが温かく照らす寝室で、俺はすずれちゃんに絵本を読んでもらっていた。
今日の分のお話が終わった後、お日様の匂いがする布団に二人でくるまりながら尋ねた。
絵本の中ではオオカミは鍋で煮られたり、水底へ沈んでしまった。
純粋な疑問だった。
すずれちゃんは少し考えた後「燃やされて灰と骨になるのよ」と答えた。
「でも、意識や魂がどうなるのかは誰も知らないから、神様を信じる人もいるの」と付け加えた。
「俺ぇ、燃やされちゃうのはやだなあ。すずれちゃんは、俺が焦げたトースト嫌いなの知ってるでしょう?」
むくれる俺の額を撫でながら、優しくすずれちゃんは笑う。
「万が一バターさんがそうなっても、ちゃんと食べるから安心して」と囁くように言った。
その言葉を聞いて、俺はお腹の底から嬉しい気持ちがいっぱいになった。
「本当ぉ?……俺ぇ、すっごく嬉しい♡きっと美味しいよぉ♡」
顔が緩む。そうなったら絶対素敵だ!
「バターさんがくださるものはみんな美味しいから、きっと美味しいですよ」
すずれちゃんは俺の頭を撫で続けた。
俺はえへへと照れながら、さっき浮かんだ素敵な思い付きを話した。
「ねえねえ♡すずれちゃんがもし、俺より先に死んじゃったら、美味しく料理して全部食べるね…♡」
例え死んじゃっても、すずれちゃんがお腹の中で俺と一緒になったら、たぶん毎日幸せに過ごせると思った。
すずれちゃんは「バターさんなら美味しくできるわね」と微笑んで、おやすみのキスを額にした。
二人分の体温で温まる布団の中で、俺は想像する。
すずれちゃんを料理するなら、食べられる綺麗な花をいっぱい使ったレシピにしよう!
時々甘い煙の匂いがする髪はサラダに。
白く柔らかな肉はメインディッシュの煮込み料理にしよう。
血の一滴も無駄にしないで、デザートまでのフルコースを作ったら最高だろうな。
このレシピはもっとよく考える事として、とりあえず明日の朝食で出すメニューを考えながら目を閉じた。