それでも隣に それは突然池に投げ込まれた石みたいに俺たちの日常を揺らしたんだ。
「鳴上〜!今日の晩飯なんだ?」
「今日は…久々にコロッケにしようと思う」
「マジで?!」
日差しが穏やかで心地のいい五月の昼過ぎ。若葉の木漏れ日が揺れる帰り道を花村と共に歩く。同じ大学に合格し、「わざわざ部屋を借りるくらいならうちに来ないか?」とルームシェアを提案してはや数ヶ月。花村が夕飯の内容を聞き、それを俺が答える。それを皮切りに今日大学であった事、観に行きたい面白そうな映画、さっき撫でた猫の話…。いつからかそんな事をお互いに報告し合うのが日課になっていた。
…俺はこの時間が大好きだった。今だけは、純粋に友人として花村が好きだったあの頃に戻れる気がして。
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