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    masasi9991

    @masasi9991

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    masasi9991

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    いちゃいちゃしている夏のデググラ

    アイスクリーム頭痛


     キーン。と来るのは目に見えている。いや肌で感じる。もうすでに冷たい。冷たくて、爽快だ。こうして口の前に持っているだけでも。
    「食べないのか?」
     横に居たグランツがおれの顔をひょいっと覗き込んだ。ソーダ味のアイスキャンディーと同じ色の目と髪の毛。それに近くで見るとよくわかるのだが、まつげもアイスキャンディー色でキラキラしている。いかにも涼しそうで、見つめているだけで少し暑さもふっとぶ気分だ。
    「ウウン、食べたいのはやまやまなのだが」
    「とけ始めてる」
    「おっ」
     握ったまま考えてばかりだから、いつの間にかアイスキャンディーの雫がこぼれ落ちるところだった、のかもしれない。
     グランツが背伸びをして、アイスキャンディーの下の方をペロッと舐めた。向こう側がとけ始めていたのだ。握った棒と水色のアイスキャンディーの隙間にチラリとグランツの舌と、あわやとけて落ちる雫が一瞬見えた。
    「冷たい。でもこのままじゃキミの手がべとべとになるぜ」
    「よし。そうだな、意を決して!」
     がぶり! とアイスキャンディーの頭にかじりつこうとするものの、キーンがこわくて開けた口を閉じられない。
    「もしかして冷たいのは苦手なのか」
    「じ、じつは、すぐにキーンとなってしまう体質なんだ。とくにアイスキャンディーには弱い」
     かじろうとしたアイスの頭を、やはり恐る恐る少しずつ遠ざける。おいしそうだ。甘くて爽やかなソーダの香り。味は好きなんだ。冷たいのも好きだ。しかし、キーンがこわい。
    「おまえはもう食べてしまったのか?」
    「ああ。おれは冷たいもので頭痛になったことはほとんどないな。急いで食べなければ大丈夫だ」
    「なるほど! ゆっくりか」
    「キミの一口は大きいから、それで冷たいのがよく効くのかもな」
    「そうかゆっくり、少食を心がける必要があるわけだ!」
    「あとは……そうだな、冷たさに負けないように、体温を上げておくとか」
    「ム?」
     目の前に待ち構えていたはずのアイスキャンディーがスーッと遠ざかる。グランツの熱い手が、おれの手をぎゅーっと握ってそれを遠ざけた。夏だからお互いとても熱いのだ。これ以上熱くなるには?
     考える間もなく、アイスキャンディーの代わりにグランツの顔が近づいてきた。おれの両手をそれぞれ握って精一杯の背伸び。さっき融けたアイスキャンディーを舐めたときよりも背伸び。おれは少し屈んで、チュッと。
    「うひゃっ。つめたい!」
    「あっはっは。ダメか? そういえばおれもアイスを食べたばかりだった!」
     いつもと違ってひんやり冷たいグランツのお口にびっくりした。そうだ、いつもと違って、ソーダ味。
    「おれじゃ力になれなかったか。作戦失敗だな。ゆっくり食べるしかないみたいだ」
     夏の眩しい日差しにも負けずに、グランツがニコニコ笑っている。
    「いや、けっこう熱くなってきたぞ。日差しのせいだけじゃなくてな」
     これならアイスキャンディーの冷たさにも負けなそうだ。とける前にがぶりといこう。


    【了】
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