【影踏み】コンクリートに伸びたマイキーの影がオレの影と重なる。
安っぽい街灯につくられた影は光の弱さに反して濃い色をしていた。
ガキの頃、マイキー達と公園で影踏みをして遊んだことを思い出す。
鬼は追いかけたヤツの影を踏むと捕まえることができる。そんな遊びだった。
隠れる日陰は三秒経ったらそこは使えない。待ち伏せすれば捕まえられた。
マイキーは誰にも捕まらない。逆に鬼になれば、マイキーは三分も掛らずみんなの影を踏んで捕まえていた。
トロいアイツが鬼になって誰も捕まらない、と騒ぐからオレはワザと影を踏まれてやった。
その日の夕方、帰り道で武臣が───
「三途さん。後始末が終わりました」
「行きましょう、マイキー」
「…………」
「おい、車回せ」
「はい」
車から降りてオフィスの地下駐車場を歩けば他の幹部の顔も見えてくる。
丁度揃ったらしい。人を食ったような笑みを浮かべた兄弟が首領に道を譲る。
「オレら後で行くから先にエレベーター使えば?」
「当然だろうが。…マイキー?」
マイキーを乗せてエレベーターのボタンを操作していると、俯いていた顔が兄弟の後ろで煙草をふかす相談役に向けられる。
「明司。オマエも乗れ」
「…分かった」
「オイ、早くしろ」
「そう急くなよ」
煙草を揉み消した男がエレベーターに乗り込むと煙臭さが箱を包んだ。
忌々しいあの男の臭い。今も昔もヘドがでる。
扉が開いてマイキーが降りる。その後を追おうとして────やめた。
「三途?」
「オラ、早く降りろ」
「──悪いな」
太陽ではなく小綺麗な照明で光が溢れる廊下。
等間隔に照らされて伸びた影を無遠慮に踏みつける。
酷く愉快な気分だった。
****
「よかったな。千壽」
「うん! でもマイキーはダメだった!」
「アイツは遠慮がねぇからなァ」
「次は絶対捕まえるよぉ!」
「春千夜、オマエも捕まえてみせろ」
────ああ、捕まえたよ。どっちも。
※※※※
微しんおみ+微マイ臣が匂うサンオミ(わかりにくい)
※春マイに見えるかもしれませんが王への信奉、執着です。
マイは臣が真と同じ銘柄の煙草吸ってるから時々傍におく。
真を恋しがっているのか、真の香りを纏う臣に同情してるのか本人も分かっていない。
それを気に入らないけど口に出せないンズ。
とはいえ、最終的に二人の傍にいるのは生きている自分。鬼の一人勝ち(と思っている)