雨ノ国【雨降る国、花愛でる男】この世界では雨が降り続いている。
過去にあったはずの文明はおろか、人類でさえ大半の数を失った世界。そこに降る雨は生物の遺伝子に関与し、その身を変容させる特別な能力を持っていた。雨に打たれた生き物たちは凶暴かつ醜い姿へとその身を変え、日々人々の生活を脅かしている。その動物達を狩り、食い、研究することで、残された人々は生活をしていた。雨に打たれると変異してしまうヒトのうち、稀に雨に適応する力を持ったヒトが生まれた。彼らをこの世界では『RAINER(レイナー)』と呼び、ヒトとレイナー達はそれぞれに役割を持ち、この孤独な世界を生きていた。
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人々が多く住む中心地からいくばくか離れた場所に、緑が多い緑化地帯があり、そこに1人の男が住んでいた。
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