操られてレイン様と戦わされるフィン君の話『――本日夜9時
禁じられた森 崩壊の崖で待つ』
そう書かれた紙を、レインは溜息と共に机の上に放り投げた。
手紙の内容は決闘申込だ。レインが神覚者となってから何度も送られてきたものである。たいていは、最年少で神覚者になったレインが気に喰わないだとか、自分の方が神覚者にふさわしいだとか、ただ単に力試しがしたいだとか、そういうくだらないものである。
レインだって暇じゃない。むしろ忙しい方だ。だからこういう決闘書のほとんどを普段は無視している。無視している、のだが――……しかし。今回のこの決闘申込書にはある〝違和感〟があった。
まず、第一に筆跡だ。
これが一番の不可解な点である。なんと、手紙に綴られている文字はよくよく見覚えがある――そう、弟であるフィンの文字とそっくりだったのだ。しかし、フィンがレインに決闘を申し込むなどとあるはずがない。
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