主朮″の小説!「お前ってとっつきやすくなったよなあ」
「……いきなりなんだよ教官」
昼休憩も半分が過ぎたあたりの時間。自分が所属する初心者コースの教官であるルークは、ふと思い立ったように話しかけてきた。ボシュは今さっきまでサンドバッグを殴っていた手を止め、振り返る。
「私もそう思うわ!ボシュって意外と話しやすいんだ〜って最近分かったのよね」
「な、冗談とかも言うし」
「そりゃ、話しかけられたら返すだろ?」
「ボシュはいい子だよな〜」
「やめろって」
「あ〜〜フラれちまった」
いつの間にやら集まってきた同コースのメンバーがボシュの周りを取り囲み、やいのやいのと騒ぎ出す。そのうちの一人にわしゃわしゃと頭を撫でられ、ボシュはむすっとして手を払いのけた。俺の三ヶ月前くらいに入会していた、コースで一番のお調子者だ。……あー、いや。一番ってのは嘘かも。今のこの場には居ないが、限られた面子にだけふざけ散らかす、もっとずっとうざったい内弁慶の男を、ボシュはよーく知っているのだった。
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