手探りで飯P書いてます2「でも、そのときは、こんな風にあなたに触れられなかったでしょう」
大きな耳にくちびるを寄せて、ささやいた。たくましい肩がぴくりと震える。
「最近ぼくの仕事が忙しかったから、こういうの久しぶりですね」
そのまま耳たぶを食んで、柔らかく歯を立てた。ピッコロさんは小さく息をのんだ。
「……したかった、ですか?」
太腿の間に膝を割り込ませ、わざとぐいと押しつけた。
「……ッ、悟飯!」
強引なぼくを押しとどめようと胸に置かれた大きな手を取って、真っ黒な美しい爪にくちびるを落とした。
パンの世話をするようになってから、ピッコロさんは、魔族らしい長く尖った爪を短く整えるようになった。優美な長い爪も彼によく似合っていて、ぼくは大好きだった。だけど、小さな黒曜石のような今の爪を見ると、ピッコロさんがぼくの娘をどれだけ大切に想ってくれているかがわかって、感謝で胸がいっぱいになる。
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