手探りで飯P書いてます2「でも、そのときは、こんな風にあなたに触れられなかったでしょう」
大きな耳にくちびるを寄せて、ささやいた。たくましい肩がぴくりと震える。
「最近ぼくの仕事が忙しかったから、こういうの久しぶりですね」
そのまま耳たぶを食んで、柔らかく歯を立てた。ピッコロさんは小さく息をのんだ。
「……したかった、ですか?」
太腿の間に膝を割り込ませ、わざとぐいと押しつけた。
「……ッ、悟飯!」
強引なぼくを押しとどめようと胸に置かれた大きな手を取って、真っ黒な美しい爪にくちびるを落とした。
パンの世話をするようになってから、ピッコロさんは、魔族らしい長く尖った爪を短く整えるようになった。優美な長い爪も彼によく似合っていて、ぼくは大好きだった。だけど、小さな黒曜石のような今の爪を見ると、ピッコロさんがぼくの娘をどれだけ大切に想ってくれているかがわかって、感謝で胸がいっぱいになる。
ぼくは、その丸い爪を乗せた人差し指をぱくりと口に含んだ。わずかに覗く爪の下の柔らかな肉を舌先でていねいにくすぐってから、長い指をねっとりと舐め上げた。
「……っ、ふ、」
ピッコロさんは大人しくぼくに指を嬲られたまま背筋をぶるぶると震わせて、それでも必死で声を殺していた。彼の股の間に押しつけた膝頭が、濡れた熱を感じてじわりと温かくなった。今すぐ彼の全身を、すみずみまでくまなく舐めてあげたい。
「ね、ピッコロさん……」
両手で頬を挟み込む。ぼくが口に出してねだらなくても、ただ甘えた声で名前を呼んで、瞳を覗き込むだけでいい。ピッコロさんはその薄いくちびるをそっと開いて、ぼくのくちびるを優しく食んでくれた。ぼくが、この人をこんな風にした。ぼくの望むままにしどけなく身体を差し出し、ぼくを求めてくれる、最愛の恋人に。
口の中に舌を差しこむと、ピッコロさんは、ぼくが以前教えたとおりに、ぼくの首に腕を絡めて目を閉じた。体温が低いせいで幾分ひんやりと感じる葡萄色の舌を絡めとり、ざらりとした表面を丁寧に舐める。口蓋の細かな起伏を舌先で何度も楽しみながら、広い背中をゆっくりと撫で上げた。
「ふぅ、ん……っ、ごは、……ん」
口の中で呼ばれる自分の名前が、まるで飴玉のように甘く感じられる。ぼくは、ピッコロさんの綺麗な歯列を舌でたどり、突き出た大きな牙に自分の舌を押しつけた。尖った先端が柔らかな舌に食い込む痛みが、たまらなく気持ちいい。
師の口内を思う存分味わってから、ようやくくちびるを離すと、ピッコロさんはもじりと腰を揺らしながら、ぼくを見上げて「悟飯、」と震える小さな声で名前を呼んだ。彼の股の間に差し込んだままの膝は、今や布越しにも分かるほどじっとりした熱に蒸らされている。
「上へ行きましょうか」
寝室のある階上に誘うと、ピッコロさんはぼくの手をぎゅっと握って、こくりと頷いた。