「起きろ」
布の擦れてる音がする。揺さぶられる感覚。
きっと彼に起こされているんだろう。
彼とは誰だ?
「……ねむい」
「眠い訳あるか。もう10時間以上眠ってるぞ」
それでも動かない自分に、深い溜め息と共に、毛布を剥がされる。
瞬間、馴染みの無い冷気が身体を包み込む。思わず身体を身震いさせてしまった。
懐かしい感覚。しかし、私はその正体を掴む事が出来なかった。
これは一体?
「いじわる」
「そのまま眠りこけて、後でグズるよりは何倍もマシだろ。大体前もそうだったじゃないか……、───」
頬を膨らませ、不貞腐れた顔を見せる。文句を一つ言えば、十になって返ってきた。
煩わしくて耳を塞げば、男は少し寂しい顔をする。
「悪い。お前の悪口を言いたかった訳じゃない」
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