ネガティブ篭手切江(仮)「……ねえ、ずっと思ってた事があるんだけど」
お腹も膨れた昼下がり。江の五振りに与えられた部屋の中、示し合わせるでもなくテーブルを囲み思い思いに過ごしていた時。ためらいがちに手を上げた村雲江によって、心地よい沈黙はそっと破られた。
「うちの篭手切江って他の本丸の篭手切江と随分違わない?」
「……そのことなあ」
座布団を枕に寝転がっていた豊前が伸びをしながら起き上がる。
そう。村雲が切り出してくれた『そのこと』については皆少なからず感じることがあった。
「そうだね。僕もそう思っていた」
「演練で見かけた篭手切は皆、俺なんかに目が合うと嬉しそうに会釈してくれるけどね」
「この本丸の篭手切は、なんというか、目が合う以前の問題なような気もしますが」
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