Here's looking at you, kid.「俺あの時本気で思ったもん。こいつマジで妖怪だって」
そう楽しげに笑う杉元の頬は真っ赤染まっている。
「えー、それまだ言うのぉ?」
呂律の回らない声で答えた白石の顔は杉元よりも赤く、まるで大きな一つのマッチ棒の様だった。
よくこんなモノを水よりもするすると呑めるものだと、尾形はクチャ中に転がった酒瓶と白石から無理やり渡されたぐい呑の中の酒を見比べて眉を顰める。
そうすると否が応でも瓶達と一緒に転がっているアシリパが尾形の視界に入ってきた。当の彼女は杉元の着ている上着の裾を掴みながらスゥスゥと寝息をたてながら眠っている。こんな所で熟睡できるものだと呆れつつ感心しながら尾形は酒を一気に飲み干して空のぐい呑みを地面に置く。アルコールの刺激が喉を突き、一瞬だけ脳がぐらりと揺れた。
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