どろをすすってでもなんでもする
『カブルー殿もそろそろ出歩く際は護衛をつけませんといけませんよ』
ほんの数時間前にそんな話をしたばかりだった。
現実というのは言葉にすれば不思議とそうなることがある。気のせいかもしれないが、そういうものもあるかもしれないと思う。
目の前には三人の男。
手には得物。明らかに殺意を持っている。
無駄とわかりつつもとりあえず対話を試みてみる。
「なにか御用ですか」
「宰相補佐カブルーだな」
「人違いです」
我ながらベタな返答だ。
言葉の代わりに返ってきたのは刃だった。
しょうがない、とひとりごちて、カブルーも剣を抜く。
対人戦はそこそこ得意のつもりだが三体一となるとさすがにキツイ。
ひとまず一対一に持ち込むようにして、走り回る。手首を打ち据え得物を落としたところを、足でひっかけ、両肩と足の爪先に剣を刺す。
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