ここいぬ あまり的中しない降雪予報が今日はどうやら当たってしまったらしい。午前中から降り始めた雪は止む気配もなく、むしろその勢いを増していた。
都内にしては珍しく雪が道路を覆っていて、普段は賑やかな大通りも閑散としている。九井が大学の講義を終えてD&Dに辿り着いたのは午後五時頃。商店街はすでにシャッターを降ろしている店がほとんどで、D&Dでも乾が閉店作業をしながら九井を待っていた。
普段なら店に遊びに来ている松野と花垣の騒がしい声に出迎えられるのだが、さすがに今日は早めに引き上げたらしい。いまだ降り続ける雪を店内から眺めつつ、九井はいつも嬉しそうに自分を迎え入れてくれる乾に表情を緩めた。
時間のかからない簡単な書類だけ片づけて、九井は乾と一緒に店を後にする。
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