優しい「行秋……」
「ちょ、っとまって重雲」
「……まてない」
「あ、だめだって…………っはぅ」
「ここが気持ちいいんだろう」
「ふ……んっ…………んん……」
「他に凝ってるところはないか?」
「もうちょっと下……あっ……そこ、もっと強く押して……」
「行秋、こういうのは溜めるのはよくないぞ。ちゃんとほぐしてやらないと」
「重雲に怒られる日が来るとはね……。にしても重雲、そのスキルはどこで覚えたんだい?」
「様々なな依頼のうちだ……。方士が施術をすることにより身の内の妖魔を退散させることができると思いこんでいる人がよく居てな……」
「あははっ、それは可哀想な」
「この話はただの愚痴になってしまう」
「でも面白いよ。続けてほしいな」
「あぁ……わかった……。ある日おじいさんが肩凝りは妖魔のせいだと訪ねてきて、その場にいた僕に依頼したんだ」
「へえ」
「初めはびっくりしたけど、せっかく来てもらったのだし、座ってもらって始めたんだ。こんなふうに……」
「んっ⁉︎ ……へっ⁉︎ 重雲⁉︎」
「まずは柔らかく、馴染ませるようにゆっくりと……」
「んん……はぁ……んぁ…………」
「少しずつ凝っているところを伸ばして……集めて……ゆっくり押して……」
「んはっ……はぁっ……ちょう、うん」
「どうした?行秋」
「君……すごい……その、気持ちいい……。本当にその経験が初めてかい?」
「そうだな、以前から父に頼まれたことはあったが」
「その……気持ち良すぎて…………あぅっ……息が……」
「気持ちいいときに息を抑えるのはあまり良くない。気の流れに任せるといい」
「そ、うは言っても…………(なんだか情けない感じがするからあまり声を出したくない……!)」