汚染『戦闘』汚染 『戦闘』
草は生えず、焦げた根っこが石にこびりつき、その墓の持ち主は手堀なので文字としては見えない。
その石を一撫でした後、背の高い男は立ち上る。
冷え込む夜の中、複数人の男が頑丈なマスクを付けて、廃れた街を走る。
日本一の都会と言われた東京も、人一人すら見当たらない。
「Aブロック、異常なし」
耳についている無線で状況を報告すると別の所からも報告が入る。
「Bブロック、異常なしです」
そして最後の一人の男も報告を済ませる。
「Cブロック、特になし」
報告が終わると女性の声が彼らに指示を出す。
『汚染された魔法石の回収に取り掛かってください』
魔法石は基本モンスターの中に存在するアイテム。しかし魔法石の暴走に、感染した人間の中にも魔法石が産まれるようになった。
「Bブロック、感染者一体発見、全員集まれますか?」
赤髪の男がそう言うと、即座に二人はBブロックへと走り、合流する。
「他に敵は?」
「居ませんよ、あのデカブツだけです」
「代表が倒せばいいんじゃないんですか?」
「その呼び方はやめろと言いましたが、耳にクソでも入りましたか?」
睨み合う二人に溜息を着きながら黒髪の男が先に前に出る。
その圧倒的戦力に、敵は見る見る枝が剥がれ落ち、汚染した紫色の魔法石を吐き出す。
「本当に、嫉妬で殺したくなりますね、水篠ハンター」
「家に諸菱くんが居るので、遠慮します、最上ハンター」
途中で降りてきた最上は旬を睨みながら魔法石を枝から取り上げる。
遅れて紫髪の男が旬に近づいた。
「僕の役目も残しておいてよ、水篠」
「そこに居るけど」
旬が指す方向に、目を向ければ取り込まれそうになっている人が居る。
「たす……けて……」
男に向かって手を伸ばし、助けを求めるが男はその手の甲にナイフで地面へと刺した。
「ぁ―――!」
目の前で手の甲を刺され地面に固定される。悲鳴を上げ、見上げれば、男は不気味な顔で笑っていた。
「僕はモンスターを狩るよりも、人の悲鳴の方が性に合ってる」
最後にもう一度刺してやろうとナイフを抜き、上から振り下ろそうとしたが、後ろから声が掛かる。
「道門、行くぞ」
「………チッ、まあいいよ」
道門は腰を上げ、最上と旬の後ろを追いかけるようにゆったりと歩く。
「まっ――――て」
「ま―――――――――」
言葉は途切れ、首から大穴が開く。そのから木の枝が生え、頭を喰らう。
「―――――――ご――――ぇ」
end