うさぎのひ「………動物、飼ってたんですか?」
「いや、ついさっき野良ウサギをみつけて…」
「馬鹿ですか貴方は」
白川が抱えているのは真っ黒なウサギで、鼻をひくひくさせながら忙しなく顔を動かしている。
「珍しいだろ?俺に懐くんだ」
「怯えてるだけじゃないんですか」
「ウサギは警戒心が強いだろうが」
そうもそうですね、と顎に手を当てながら白川が抱えるウサギを撫でようとするとフイッと避けられた。
「………ぷっ」
「こんなデカブツより、僕が一番優しく撫でてあげますよ」
再び手を伸ばしてみる。
避ける
避ける
避けるの繰り返しで、ついには白川の腕に顔を埋めてしまった。
「何がいけないんですか!!」
「嫌われてるな、ザマァみやがれ」
「ウサギ事燃やしますよ」
結局そのウサギは二人が喧嘩しはじめた頃には腕から抜け出し、何処かへ行ってしまった。
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「中々楽しかったな」
「何かいいましたか、水篠さん」
「いや、なんでもない」
end