お題:ぬいぐるみ夕飯の支度をするために材料を買いに来た旬は、レシートが抽選権に変わるイベントが開催されている事を知り、大量のレジ袋を持ちながら、開催場所へと向かっていた。
「一等は旅行券!二等はお米だよ!」
頭にたおるを巻いた厳つい顔が特徴の男性が呼び込みしながら次々とガラガラが回されていく。ついに旬の番が来た時、男性は目を見開いた。
「あれ、アンタS級ハンターの水篠だよね?」
「え、っと……はい」
突然そんな事を聞かれた旬は戸惑いながらも返事をした。男性はニッカリと笑いながら『やっぱりな!』と持っていたレシートを取られる。
「3回な」
あまりこういった事はしなかった旬は、少しばかりウキウキしながら回す。しかし、一つ目は白、二つ目も白と出てくる。
せめて何か当ればいいのにと、最後の一回転はあまり期待せずに回すと橙色が出てきた。
「水篠ハンター等~!……と言っても持って帰れるか?」
そんなに大きな物なのだろうかと見てみると、ドデカいペンギンのぬいぐるみが置いてあった。
「大丈夫です」
そう言って袋を持ち変え、ペンギンを前に抱えるとどこからか写真を撮られる音が聞こえてくる。男性にお辞儀をしてから、そのペンギンを抱えたまま家までの道を歩いた。
その後、SNSに投稿された『水篠ハンター ペンギンのぬいぐるみを抱きかかえて持ち帰る』は爆速で広がり、一部S級ハンター達は旬の家に不法侵入したという噂が出回った。