エぐ「……こんなところでどうしたの?」
一人の青年の視線がこちらへ注がれる。真っ直ぐにこちらを見つめてくるその青い瞳はまるで晴天の青空のような色をしているが、どうしてか自分には暗闇に輝く星のようだと、そう思ったのだ。
これまで、誰もが自分を見ぬふりをして、まるで汚いものを見るかのような視線を送りながら目の前を通り過ぎていった。だが、その青年だけは違った。
「こんなにずぶ濡れになって……って冷た!」
青年が伸ばした手のひらがこちらに触れる。他人の熱に触れるのはいつぶりだろうか。不思議と、青年の熱にはどこか覚えがあるような気がしたが、まあ気のせいだろう。
その時、ふわりと身体が宙に浮いた。あまりに突然の出来事だったので理解が追いつかず、身体が石にでもなったかのように硬直し、手足がぴんと伸びる。
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