愛していると伝えたら/ルフォシュラ「シーナ……愛しているよ、本当に。」
シーナは今日も規則の正しい寝息を立てて眠っている。
時々目を覚まさなかったらどうしよう…とか、そう思ってしまうことがある。
現に、彼女が眠ってから数時間が経っている。
僕自身は眠ることに関して嫌だなんて思ったことはないけれど、彼女はここにいる…生きているのだと確かめる為に僕はシーナに触れたくなるのだ。
もしかしたらこのまま起きないんじゃないか、…だなんて不意に思うことがあって、親友を失ってから僕は心配性になってしまったのだろうか。
存在を確かめようと彼女の頬に手を伸ばそうとすると、……彼女の手が僕の手に重なる。
普段彼女に自分の気持ちを素直に伝えることはしないからだろうか、僕は今どこから起きていたのかだなんて考えている。
でもそれ以上に、今日もちゃんと彼女が起きてくれたことが嬉しい。
「ウィリアム…さん?」
「おはようシーナ。」
「おはようございます。……あの…手が、震えています。」
…少しだけ眉を顰めたシーナが僕の顔色を伺う。
彼女はここにいるのだと確認する為に触れようとするけれど、今ここに彼女がいることすら夢なんじゃないかと思って不安になることがあるのだ。
ほんの一瞬でも、そう考えてしまう僕は酷く臆病だ。
「緊張…しているんですか?」
…彼女が眠っている時僕も一緒に眠ることがあるけれど、心から安げることがないだなんて言ったら君は気負うだろうか。
「緊張はいつもしているよ。」
「…。」
シーナは僕の不安の種をきっと分かっているのだろう。…何も言わずに僕の頬にそっと触れてくれた。
「私は…ここに居ます。貴方の側に。」
いつからこんなに臆病になってしまったのだろうか、今日の僕はそれでは足りなくて…彼女を僕の腕の中に収めた。
「愛しているよ、シーナ。」
後数センチ近づけば口付けできそうな距離。
彼女もまた、愛していると言って柔らかな、綺麗な笑顔を向けてくれた。
それが僕の瞳いっぱいに広がってやっと、安心できる様な…そんな気がした。