診断メーカーのやつ/アダシュネ「こんなところで、どうしたの?」
あいも変わらず現場で孤立している俺に話しかけてくれる彼、シュネーはにっこりと笑って俺を見つめた。
「いや、…何でもないよ。」
俺は彼が好きで、彼も俺が好きで…。
でもだからと言って俺は彼と話さなくとも大丈夫で、遠くから楽しそうにしている姿を見るだけで十分なのだ。
最も、俺はシュネー以外と話すことにとても緊張してしまうし、シュネーが楽しそうに話している中俺が入ってしまったら場が悪くなってしまう。
シュネーはそんなことないって言ってくれるだろうが、本当のこと。
「アダムも一緒に話そう?」
「いい。」
今回もまた気を遣っているのか、そう聞いて来るのだ。
でも少々俺が言葉足らずなものだから彼は心配そうに俺の顔を覗き込む。
いつも気をつけなきゃと思うけれど、直ってはいない。
「……怒ってる?」
「何で?」
「…………僕は、その…。」
シュネーは突然目を泳がせて顔を赤らめた。
きっと彼は勘違いをしているだろうけど、可愛いから黙っていることにした。
「……海夢だけだから。」
俯いて消え入りそうな声でそう言う彼は耳まで真っ赤で、思わず抱きしめてやりたくなった。でも、周りがいるので頭を撫でるぐらいで我慢した。
「……楽しそうだなって…見てただけだよ。」
俺がそう告げると、彼は両手で顔を覆い…勘違いしたことを恥ずかしそうにした。
「でも嬉しい、ありがとう。」
今ここが現場じゃ無かったらきっとキスをしていた。そして君は林檎のように顔を真っ赤にするのだろう。
幸せで、嬉しくて…気持ちが溢れ出す。
可愛くて愛おしい彼の気持ちを、この俺が貰っていいのかなんていつも思っている。
好きだと言えば必ず僕もと返ってきて…こんなに嬉しいことはない。
…でも本当に嬉しい時、目頭が熱くなって…言葉よりも涙が出ることを最近知ったんだ。
「美紅、好きだよ。」