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    わかめ

    創作の絵をあげるだけ

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    わかめ

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    チェンのと義兄弟の話

    僕の家族の話/義兄弟(チェン)初めてパンジー家の一員として家で過ごすのを終え、ラスターと共にいつものホグワーツハッフルパフ寮の寮部屋へと戻ってきた僕は、ふぅっと一息つきながらベッドへ。
    荷物が入ったバッグはベッドの横に置き、隣のベッドで早くも荷解きをしているラスターを横目で見ながらベッドへ寝転ぶと、僕の視線に気づいたのかラスターがこちらを向くと「どうしたの?」と声をかけてくれた。

    「ラスター、ありがとう。」

    僕をパンジー家に招いてくれたのは他でもないラスターで、正直初めは養子の話なんて出るとも思っていなかったから、その話が出た時は冗談かと疑った。
    こんな面倒な実の両親を持った僕を迎え入れてくれる家庭なんてないと思っていたから…実際にパンジー家へ行った時に初めてサークルに入った時かのように温かく迎えてくれて驚きしかないのだ。

    「…僕の親、好奇心旺盛な所があるから大丈夫だった?」

    ラスターの言うように彼の両親は好奇心旺盛で、僕がお礼の手料理を振る舞うとレシピはなんだとあれこれ細かく聞いてきて正直困ってしまったが、…その反面興味を持ってもらえて嬉しくもあった。人に手料理を振る舞うのは初めてで、ましてや美味しいと言ってもらえたことも初めてで…パンジー家で過ごした数日間は嬉しいことだらけだった。

    「注目されるのは苦手だけど…歓迎して貰えた様ですごく嬉しかった。」

    僕が嬉しそうに笑顔でそういうと、ラスターは「それなら良かった。」とつられて笑った。
    パンジー家は本当に良い人たちばかりで、とても心温まったけど、…でも、正直な所家族って本当はあぁいうものを言うのだろうな…と、家族の本来あるべき姿を目の当たりにして僕があの家に入って良いのか心配になったところがある。

    僕にとっての家族は、…父と母は、僕を道具としてしか扱っていなかった。人を傷付け自分の身を守ることが出来るように、刃物の使い方や毒薬についてのことを幼いながらに教え込まれ、少し大きくなってからは人を縛る呪文を教え…。
    僕が間違いをすれば父と母は僕を強く叱り、上手くできればもっと…と無理な目標を立てられた。
    家族とは、苦しくて痛くて…ただ僕をこの世界に産み落とした存在としか思っていなかった。今まで他者に壁を作ってきたから…よその家族の在り方なんて知らなかったから、初めてよそを見た時に僕と僕の両親は…本当に家族では無かったんだと思い知らされた。
    そんな家族を知らない僕が、本当にパンジー家の一員になって良いものだろうか…?

    「僕…本当にパンジー家の一員になって良いのかな?」

    僕がそういうと、ラスターは荷解きをしていた手を止めて少し考える素振りをした。

    「僕はジャンだから誘ったんだ。」

    「僕だから…そっか。」

    「ジャンは……僕たちと家族になりたくない?」

    家族…、手を伸ばしても、届かなくて手に入らないようなものだと思っていた。
    多くを手にすればきっと後でその代償が来る。僕を道具として育ててきた彼らが、僕を忘れているはずないのだから。
    それでも、…それでも僕のそばを離れなかったから出来た大切な友人、愛すべき人…これ以上手に入れたらバチが当たらないだろうか。

    「僕は…、ラスターも、グルームさんも好きだ。…だから、…家族になれたらそれはとても素敵なことだと思う。でも…不安なんだ。僕が入ったことでみんなが危険に晒されるんじゃないかって…。僕が裏で何て言われているか知ってるよね?」

    "闇の魔法使いの息子"、"ヤクザの息子"、"将来アズカバン"…とそんな風に噂されている。
    僕の為を思って怒ってくれる人が居るお陰か、それとも最近僕がオープンになったお陰か最近聞くことも無くなったけれど、噂されないだけでまだそう思っている人も居るだろう。

    「…聞いたことはあるけど、そんな噂よりも僕は植物に夢中ってジャンも知ってるよね?僕はジャンが好きで、一緒にいて……楽しい。兄さんもジャンは好きだと思うし、…みんなジャンの事好きになるよ。それに、もし危険に晒されても僕たちがいる、…まだ何か不安になる事…ある?」

    ラスターにとっては僕が家族になる事が全く問題ないと、そう言わんばかりのまっすぐな瞳で…そんな瞳で見られたら…。

    「ジャン…?」

    自身の目が潤み、涙が頬を伝うのが分かる。
    ラスターは何も話さなくなった僕を心配してか、立ち上がり僕が居るベッドの方まで来ようとしていたので僕は咄嗟に布団を被った。ラスターは僕のベッドにゆっくりを腰をかけ、僕が話し始めるのを待っている。
    僕は涙を服の裾で拭い、布団を少しだけ顔の下に下ろすと…、ラスターは優しい表情で僕を見てくれていた。

    「…ありがとう。」

    「うん、ジャンお兄ちゃん…これからよろしく。」

    …この笑顔を、大切な家族も守れる様に強くならなきゃ。
    毛嫌いしていて足を運んでいなかった決闘クラブも、今は研究のために行ける様になったから…少しずつ挑戦者としても参加できる様になりたいな。
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