触手ネタ(触手なし) 狐族の医師が、確かな手取りで電子カルテを整理していく。それを静かに眺めた後、曜青の将軍はわざと足音を立てて彼の机に近付いた。しかし「ああ将軍。居たんですね」と言う医師に将軍は顔を顰める。扉を開けるところから音を立てるべきだった。将軍はもうどうしようも無い後悔を飲み込み、なるべく明るい声を意識して医師に要件を伝え始める。
「……触手の忌み物?」
「ええ。なんでも狐族にだけ反応するけど、それ以外の時は巣穴に隠れて絶対に出てこないんですって。羅浮には狐族の軍隊が無いから、誘い出せなくて困ってるそうよ」
「はあ……。それは羅浮から正式に依頼されたのですよね? なら僕に聞かずとも部隊を率いて討伐しに行けば良いではありませんか」
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