ゴムの日(遅刻)ネタ下ネタ「それ、要らなくないですか」
それ、と指さされたそれはコンドームである。まだ真昼間だというのになんで破廉恥な話題を出すのかコイツは、と発言主──本田菊の方を見ると、彼は本気で疑問に思っているような、至極真面目な顔で見返してきた。
「私たち国ですよ? ここ数百年なってないなら感染症なんて絶対持ってないでしょう」
「いや、腹壊すとか色々あるだろ」
「こんなの無かった頃から生きてたんですから今更ですねぇ」
隙あらば爺のフリをする本田はちょっとうざったい。今更ってお前、俺と初めてした時童貞処女だったじゃねぇか。というのはギリギリ飲み込む。
「100歳越えのジジイだってスマホ持ってるやつは持ってるんだぞ。使えるもんは使えって教えたろうが」
「スマホは便利だから使うんじゃありませんか。ゴムは必要無いでしょ」
「いやだから腹壊す……」
本田はどうしても自分の意見を曲げないようだ。本音を言うなら俺だって生でしたい。ほんの数十年前に付き合ったばかりだから、まだゴムでしかしたことがないのだ。
でも俺は本田に負担をかけたくなかった。初夜の時、俺は挿れる側が良いと懇願していたからだ。喚く俺に対し本田は別にどっちでも良さそうだったが、俺としては“譲ってもらった”感覚が強い。本当に腹でも壊して、本田が俺に譲ったことで不利益を被ったとでも思われたら堪らなかった。あと数百年くらい付き合って、熟年夫婦っぽくなるまでは危険なプレイなどしたくない。
「……そんなに気になるなら、中に出さなければ良いじゃないですか」
「……は?」
「輪ゴムで縛っちゃいましょうよ」
それ、と指さされた俺のイチモツは可哀想なほど萎縮していた。
「……お前、今度射精我慢プレイしような」
「な、なんで!?」